電話

いっそのこともう出てくれるなと願ってしまうのは私の心の弱さである。

 

電話の呼び出し音の長さが自分の揺らぎを表してるような。

 

受話器から聞こえる声は本人の声によく似た電子音の連続と知ってから、簡単に「あいしてる」を言える。「おやすみ」が信じられない。

 

蝉の音がスピーカーに拾われないようにわたしのなきごえも拾われていない。君の心のスピーカーに乗らない。